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岩瀬 彰宏; L.E.Rehn*; P.M.Baldo*; L.Funk*
Journal of Nuclear Materials, 271-272, p.321 - 325, 1999/00
被引用回数:1 パーセンタイル:13.12(Materials Science, Multidisciplinary)15MeVのHeイオンと100~400keVのHeイオンとを同時照射したCu-Au,Ni-Si合金の照射誘起析出を、RBS法により測定した。15MeV Heイオンのみを照射した場合に大きく現れる表面への照射誘起析出は、低エネルギーHeイオンを同時照射した時、抑制される。以上の実験結果をもとに、Freely Migrating Defects生成におけるHe原子の効果について議論する。
田中 茂; R.Matera*; G.Kalinin*; V.Barabash*; 毛利 憲介*
Journal of Nuclear Materials, 271-272, p.478 - 485, 1999/00
被引用回数:4 パーセンタイル:34.81(Materials Science, Multidisciplinary)ITER真空容器内材器(ダイバータ、第一壁、ブランケット、真空容器等)構成材料に関係する工学R&Dで得られた膨大な実験生データを蓄積して、設計に有効利用するため、「ITER材料関連R&Dデータバンク」を構築した。ベリリウム、タングステン、炭素系材料、銅合金、ステンレス鋼等の単体材料の熱機械的特性(中性子照射効果含む)に加えて、これら材料間(Be/Cu,W/Cu,CFC/Cu,Cu/SS,Cu/Cu,SS/SS)の各種接合(ロウ付け、HIP、爆着、摩擦接合、プラズマスプレー等)の熱機械的特性(中性子照射効果含む)、さらにこれら接合法を用いて製作された水冷模擬試験体の高熱負荷繰返し疲労試験の結果を収録した。またプラズマ対向材料(Be,W,CFC)のプラズマ壁相互作用(スパッタリング及びディスラプション時熱負荷による損耗、水素同位体の吸蔵、放出)及び各種冷却管の限界熱流束に関する実験データも収録した。
辻 宏和; 横山 憲夫; 藤田 充苗*; 栗原 豊*; 加納 茂機*; 舘 義昭*; 志村 和樹*; 中島 律子*; 岩田 修一*
Journal of Nuclear Materials, 271-272, p.486 - 490, 1999/00
金材技研、原研及び動燃は、平成2年度から6年度までの共同研究で、機関間を越えて原子力材料情報を相互利用できる分散型材料データベース(データフリーウェイ)の基本システムを構築した。このシステムをさらに発展させるため、新たにJSTを加えた4機関で利用技術の開発を柱とした共同研究を平成7年度から11年度までの5年間の計画で開始した。初期のシステムでは特定回線を確保してデータの相互利用を行っていたが、この共同研究では、最近の急速なインターネットの普及と高速伝送回線の整備に対応してシステムの充実を図った。データフリーウェイに収録されているステンレス鋼の照射関連のデータを用いて、クリープ特性、疲労特性等に及ぼす中性子照射効果を抽出するとともに、照射データの不足している条件を明らかにして今後の実験計画への提言を行った。
知見 康弘; 岩瀬 彰宏; 石川 法人
Journal of Nuclear Materials, 271-272, p.236 - 240, 1999/00
被引用回数:8 パーセンタイル:53.62(Materials Science, Multidisciplinary)核融合炉に用いられる材料は常に放射線に曝されるため、その照射挙動を調べることは重要なことである。これまでFCC金属については電子線、イオン、中性子照射での挙動が調べられているが、BCC金属については電子線、中性子照射がおもに行われ、イオン照射はあまり行われていない。そこで今回、代表的なBCC金属である鉄について低温でイオン照射を行い、そのときに導入される格子欠陥の蓄積挙動を調べた。スパッタリングでサファイア基板上に作製した鉄薄膜(厚さ~200nm)に0.52.0MeVのH,He,C,Ne,Arを80Kで照射し、そのときの電気抵抗変化をその場測定した。導入された欠陥の照射量依存性を示す曲線から、欠陥生成断面積、欠陥消滅断面積、損傷効率といった基礎データが各イオンについて求められた。一次はじき出し原子の平均エネルギーが大きくなるにつれて、損傷効率は減少していき~0.3でほぼ一定になる傾向が得られた。
實川 資朗; 内藤 明; 瀬川 潤*
Journal of Nuclear Materials, 271-272, p.87 - 91, 1999/00
被引用回数:6 パーセンタイル:45.57(Materials Science, Multidisciplinary)核融合炉材料開発のための中性子照射には核分裂炉が用いられることが多いが、必要な損傷速度が極めて高いため使用できる炉や照射体積は限られる。このため試験片の微小化は重要な照射試験技術である。破壊特性に対する試験片寸法や形状の影響は比較的大きい。試験片形状の最適化と微小化のために、J値やJ-R曲線に対するこれらの影響を評価した。試験片には大きさと形状を変えた7075-T6アルミニウム合金の3点曲げ試験片を用いた。試験片の幅と厚さは1.25~20mmの範囲で、a/W値は0.125~0.6の範囲で変化させた。JやCODには試験片寸法や形状の効果は強く現れなかったが、J-R曲線やJ値の範囲はリガメント長さに強く依存した。これは測定できるJ値の範囲はリガメント長さに依存することを示す。
實川 資朗; 井岡 郁夫; 菱沼 章道
Journal of Nuclear Materials, 271-272, p.167 - 172, 1999/00
被引用回数:6 パーセンタイル:45.57(Materials Science, Multidisciplinary)オーステナイトステンレス鋼は核融合実験炉に使用されることになっているが、受ける照射損傷のレベル及び温度はコンポーネントにより異なる。一方、これまで得られた結果の照射条件は限られているため、照射損傷レベル等に関して機械的性質の内挿や外挿が要求され得る。外挿のための考えを得るため、照射による機械的性質の変化の結果を、照射量、照射温度、核変換生成ヘリウム量及び材料組成の点から、照射誘起応力腐食割れも含めてレビューする。主なデータのソースは原研とORNLによるHFIRでの共同照射実験結果である。また、照射を受けた構造物の強度の推定に有用と考えられるシミュレーションの方法についても言及する。
新見 素二; 松井 義典; 實川 資朗; 星屋 泰二; 塚田 隆; 近江 正男; 三村 英明; 大岡 紀一; 秀 耕一郎*
Journal of Nuclear Materials, 271-272, p.92 - 96, 1999/00
被引用回数:5 パーセンタイル:40.64(Materials Science, Multidisciplinary)析出硬化型630ステンレス鋼の引張試験片、破壊靱性試験片及びシャルピー衝撃試験片をJMTRにおいて冷却水温度である325Kにて照射した。速中性子の照射量は最高で1.210m(E1MeV)である。試験温度は引張及び破壊靱性試験を293Kで、シャルピー衝撃試験は273~450Kの範囲で行った。引張強さは速中性子照射量710m付近で1600MPaのピークを示し、それ以降は、1500MPa(1.210m-2)付近まで照射量とともに徐々に低下した。伸びは未照射材で12%程度、710mまでの照射で7%に低下した。破面観察結果は破壊が延性的であったことを示した。破壊靱性値は照射によって未照射材の約半分に低下した。破壊靱性試験片では、へき開破面が支配的であった。シャルピー衝撃試験によるDBTTは照射によって60K上昇した。
三輪 幸夫; 塚田 隆; 辻 宏和; 中島 甫
Journal of Nuclear Materials, 271-272, p.316 - 320, 1999/00
被引用回数:5 パーセンタイル:40.64(Materials Science, Multidisciplinary)照射誘起応力腐食割れ(IASCC)の発生機構を解明する目的で、IASCC感受性に影響を及ぼす照射誘起マイクロストラクチャーや照射誘起偏析のうち、照射誘起マイクロストラクチャーに及ぼす添加元素の効果を調べた。供試材はSUS316系の高純度合金と、それに炭素、チタン、シリコン、リン、硫黄を単独又は複合して添加した合金の溶体化処理材である。これらをJRR-3で、514Kにて約1dpaまで中性子照射した後、透過型電子顕微鏡でマイクロストラクチャーの観察を行った。その結果、Moの添加によりフランクループの数密度と平均直径が低下した。また、炭素の添加により、フランクループの数密度が増大し、平均直径が低下した。Siの添加は、Moの添加と同様にフランクループの数密度及び平均直径の低下を起こした。他の元素、チタン、リン、硫黄の影響は、C及びSiの影響に隠された。
野田 健治; Ehrlich, K.*; 實川 資朗; Moeslung, A.*; Zinkle, S.*
Journal of Nuclear Materials, 258(263), p.97 - 105, 1998/10
被引用回数:20 パーセンタイル:81.49(Materials Science, Multidisciplinary)国際核融合材料照射施設(IFMIF)の役割は、(1)核融合材料の開発、(2)核融合DESO炉の設計用材料データベースの取得等である。ここでは、IFMIFの概念設計活動(IFMIF-CDA)のためのユーザー要求を試験すべき材料、試験の形式、微小試験片技術、照射条件等について示される。試験すべき材料としては、フェライト鋼、V合金、SiC/SiC複合材料等の構造材料、LiO及びLiTiO等の増殖材料、炉内構造物絶縁及びRF窓等の絶縁セラミック材料等であり、試験の形式としては、照射後試験と運転条件下での材料特性を調べるための照射下その場実験がある。また、照射条件としては、必要な中性子束、照射試験体積、中性子束勾配、中性子スペクトル、材料損傷パラメータ等についてふれる。
八巻 大樹; 谷藤 隆昭; 野田 健治
Fusion Engineering and Design, 39-40, p.723 - 729, 1998/00
被引用回数:2 パーセンタイル:24.49(Nuclear Science & Technology)本研究では、中性子照射した酸化リチウム単結晶試料からのヘリウム放出挙動を観測した。熱中性子照射試料に対する等速昇温測定実験においては、いずれの試料も単一の放出ピークを観測した。このピーク温度は、単結晶粒が大きくなるほど、また中性子照射量が多くなるほど高くなった。このピークは単結晶粒内拡散律速によるものと考えられる。このことは、以前に行われた、酸化リチウム焼結体試料からのヘリウム放出挙動との比較からも裏付けられる。また、高速中性子で重照射(Li燃焼度5%)を行った試料からのヘリウム放出曲線は、大きな放出ピークの上に、いくつもの細かいピークが重なって観測された。このことは、重照射によって、試料中に細かいクラックが多数入っていることを示唆していると考えられる。
中村 和幸; 鈴木 哲; 大楽 正幸; 横山 堅二; 奥村 義和; 鈴木 隆之*; 神保 龍太郎*; Bandourko, V.*; 秋場 真人
Journal of Nuclear Materials, 258-263, p.828 - 832, 1998/00
被引用回数:4 パーセンタイル:38.68(Materials Science, Multidisciplinary)ITER用ダイバータアーマータイル材として有望な高熱電導炭素強化複合材(CFC材)のスパッタリング収率低減化を目的として、新たに炭化珪素含有CFC材が開発された。新材料で製作したダイバータアーマータイルの寿命を評価するため、ディスラプション及びスパッタリングによるこの材料の損耗特性を実験的に調べた。その結果、ディスラプションによる損耗特性を劣化させずに、スパッタリングによる損耗特性が改善されていることが確認され、実機適用に関して明るい見通しが得られた。本講演では、これら一連の損耗特性評価試験について報告する。
衛藤 基邦; 馬場 信一; 石原 正博; 宇賀地 弘和
Journal of Nuclear Materials, 258-263, p.843 - 847, 1998/00
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Materials Science, Multidisciplinary)ダイバータ用炭素複合材料に14MeV中性子、Heイオン及び炭素イオン等を照射した場合の熱拡散率と微小押込みかたさの変化を調べた。供試材はMFC等4種類の材料ですべてJT-60で使用された実績がある。特性の評価は、レーザーフラッシュ法による熱拡散率の値から求めた熱伝導率及び微小押込み試験の結果から推定した弾性率と強度とから行った。主要な結果は次のとおりである。(1)微小かたさの最大値を示す部位とイオンの飛程とはほぼ一致した。(2)微小かたさと増加に基づいて予測すると、イオン照射後、ヤング率、強度ともに増加することがわかった。(3)14MeV中性子照射後は、イオン照射の場合と異なり、強度の低下が予測された。
中村 博文; 林 巧; 大平 茂; 奥野 健二; 西 正孝
Journal of Nuclear Materials, 258-263, p.1050 - 1054, 1998/00
被引用回数:4 パーセンタイル:38.68(Materials Science, Multidisciplinary)SUS316L材中の重水素のイオン注入透過挙動(IDP)の測定を実施した。実験は0.025mmのSUS316L膜を使用し、定常状態におけるIDPの各パラメータ依存性(温度、イオンフラックス及びイオンエネルギー)及びイオンフラックス一定の下でイオンエネルギーを急激に変化させた場合のIDPの過渡挙動の測定を行った。定常状態のIDPに関しては、パラメータ依存性の測定結果より、透過の律速過程は低温部ではRD律速であるのに対し高温部では、律速過程がRD律速からDDもしくはRR律速に変化したことが明らかとなった。また、IDPの過渡挙動は、エネルギー変化に伴い、一旦スパイク的な挙動をした後、定常値に至るという現象が観察された。これら定常状態及び過渡状態のIDP挙動は入射重水素イオンにより形成されるトラップサイトの存在を仮定することにより説明可能であることが判明した。
鈴木 哲; 鈴木 隆之*; 荒木 政則; 中村 和幸; 秋場 真人
Journal of Nuclear Materials, 258-263, p.318 - 322, 1998/00
被引用回数:8 パーセンタイル:57.28(Materials Science, Multidisciplinary)核融合実験炉用ダイバータ板模擬試験体の高熱負荷実験について報告する。試験体は表面材料に高熱伝導率をもつCFC材料を使用し、冷却管には疲労強度が高く、接合性にも優れたアルミナ分散強化銅製の2重管を使用している。本試験体、並びに比較のための純銅製冷却管をもつ試験体に対して定常熱負荷(20MW/m)をくり返し与え、熱疲労強度を評価する実験を行った。その結果、純銅製冷却管をもつ試験体は約400サイクルで冷却管が疲労により破損した。一方、アルミナ分散強化銅製冷却管をもつ試験体は顕著な疲労損傷を受けることなく1000サイクルの負荷に耐えることを実証し、本冷却管の疲労強度における優位性を示した。
加藤 義夫; 勝田 博司; 小西 哲之; 生越 満*; T.Hua*; L.Green*; S.Cevolani*
Journal of Nuclear Materials, 258-263, p.394 - 399, 1998/00
被引用回数:9 パーセンタイル:60.39(Materials Science, Multidisciplinary)IFMIFのターゲット系においては金属Liジェット流に最大40MeV、250mAの重陽子ビームを照射して14MeVの中性子を発生させる。ターゲット系では、この時Li中で発生する約10MWの除熱とともにd-Li核反応生成物として生成するT、7Be、(T: 53d、decay : 0.48MeV)のほかO、N等の濃度制御を行って安全を確保しなければならない。T、Be、Oはコールドトラップで制御可能であり、循環Li中のTは約3g以下に維持する。Be、Oはともに約30appm以下に制御可能である。Li初装荷時や機器交換時に混入するNはチタンゲッターホットトラップにより約30ppm以下に制御する予定である。なおTの濃度制御にはコールドトラップのほか、イットリウムゲッターホットトラップも検討しており、いずれを採用するかは今後の実験も含めた評価により決定する。
藤井 貴美夫; 山田 禮司
Journal of Nuclear Materials, 258-263, p.1953 - 1959, 1998/00
被引用回数:8 パーセンタイル:57.28(Materials Science, Multidisciplinary)炭素/炭素繊維複合材料は、核的性質、高温特性に優れ、核融合炉の第一壁を始めとして多くの分野で有力な候補材料として注目されている。一方高温の酸化性雰囲気あるいは、プラズマ状水素雰囲気中において反応性が高い欠点を有している。C-C材の耐反応性を向上させるため炭化ケイ素(SiC)を材料表面にCVD被覆することが考えられる。しかし基材との熱膨張係数の違いによって被覆が剥離することが懸念される。そこで熱応力を緩和するため、C-C材の表面から内部に向かってSiCの濃度(傾斜)勾配を持つ1D、フェルト系C-C材を基材としたSiC傾斜組成材料を創製し耐熱衝撃性を評価した。結果は次の通りである。(1)熱膨張係数の異方性の強いC-C材では、SiCの熱膨張係数より極端に小さい値を有する繊維、フェルト方向に対し、直角方向に被覆層にクラックを生ずる。(2)クラッキングの主原因は繊維部分がSiCを形成しにくいためと考えられる。
大平 茂; Steiner, A.*; 中村 博文; R.Causey*; 西 正孝; Willms, S.*
Journal of Nuclear Materials, 258-263, p.990 - 997, 1998/00
被引用回数:14 パーセンタイル:73.06(Materials Science, Multidisciplinary)タングステンはその高熱抵抗からITERのダイバータの候補材としてあげられているが、トリチウムの滞留量評価に必要なデータには大きなばらつきが見られる。この原因としては、表面酸化膜の存在、焼結圧延の際に生成する格子欠陥の生成、入射粒子の性状による滞留挙動の違いによるものが大きいと考えられる。これらの影響を明らかにするため、電流、イオンエネルギーの異なる水素イオン源、中性粒子を発生するRFプラズマ源等を使用し、様々な条件(温度、照射量等)の下で、タングステン試料中のトリチウム滞留挙動を観測した。その結果、イオンで打込まれた水素同位体は、昇温脱離スペクトルにおいて600C及び1200Cに2つのピークとなり焼結圧延された試料から脱離するが、中性粒子照射の試料、あるいは焼鈍前処理された試料においては高温側の脱離ピークは見られず、欠陥のトラップと粒子エネルギーの相関が示唆された。
Bandourko, V.*; 神保 龍太郎*; 中村 和幸; 秋場 真人
Journal of Nuclear Materials, 258-263, p.917 - 920, 1998/00
被引用回数:3 パーセンタイル:31.85(Materials Science, Multidisciplinary)ITER用プラズマ対向材料として有望なタングステン材料のセルフスパッタリング収率の角度及び温度依存性について報告する。主な内容は、入射角が70度近辺にスパッタリング収率の最大値を持つこと、より高温でスパッタリング収率が増加することである。特に、温度依存性に関しては、従来からの予測と異なるものであり、そのメカニズムについても報告する。
石井 敏満; 深谷 清; 西山 裕孝; 鈴木 雅秀; 衛藤 基邦
Journal of Nuclear Materials, 258-263, p.1183 - 1186, 1998/00
被引用回数:40 パーセンタイル:92.83(Materials Science, Multidisciplinary)核融合炉構造材料の候補材料となっている低放射化フェライト鋼(F82H)の疲労特性に及ぼす試験温度及び引張側保持の影響を評価するため、試験温度が室温~650C、制御ひずみ範囲が0.4~2.0%の試験条件で、保持無し及び引張側保持の高温低サイクル疲労試験を実施した。その結果、次のような知見を得た。(1)試験温度や制御ひずみ範囲の増大に伴い疲労寿命は減少した。(2)制御ひずみ範囲が0.5%の試験では、繰り返し疲労試験中の引張側最大荷重の減少に及ぼす試験温度の影響が顕著に現れた。(3)600Cにおける引張側保持試験では、保持無しの試験に比べて寿命が低下すると共に引張側最大荷重の減少が著しくなり、この試料の組織観察では、炭化物の粗大化とラーベス相の析出が確認できた。
西山 裕孝; 深谷 清; 鈴木 雅秀; 衛藤 基邦
Journal of Nuclear Materials, 258-263, p.1187 - 1192, 1998/00
被引用回数:4 パーセンタイル:38.68(Materials Science, Multidisciplinary)照射温度が290C~400Cで、110~310n/m(E1MeV)の中性子照射を受けた2.25Cr-1Mo鋼について、引張試験、シャルピー衝撃試験及び電気化学的試験の結果から、中高温度域での中性子照射脆化の特徴について検討を行った。照射温度が400Cの場合、照射脆化はマトリックスの硬化によって誘起されるが、この程度は極めて小さい。しかし、照射量が110n/m以上になると、非硬化性の脆化すなわち粒界脆化が生じた。一方、照射温度を約300Cから400Cに変えた場合、300Cにおける照射量の大小すなわち照射硬化量に関係なく、その後の400C照射によって照射硬化のほとんどが回復した。したがって、400C照射による2.25Cr-1Mo鋼の脆化の主因は粒界脆化であることがわかった。また、電気化学的分極法により、その原因が不純物等の照射誘起偏析であることが推察された。